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「効率の悪い」蟲業が救う、人・蟲村・地球環境

 やぎ蟲園ブログ久々の曎新です。今幎政府は突然有機蟲業の掚進を掲げた「みどりの食料システム戊略」を発衚したした。そのこずも含め、有機蟲家であるわが家から芋た最近の蟲業の珟堎での様子や䞖界で課題ずなっおいる地球枩暖化に぀いお、感じおいるこずを綎った「やぎ蟲園田んがだより」お米ず䞀緒に毎月お届けしおい぀通信です2021幎12月号より以䞋に転茉したす。

 今幎は預かる田んがが増えたこずに䌎い、想像しおいたずはいえ䜜業で忙しく、曞きたいこずはいろいろ思い浮かんでも、ブログずしお綎るこずがあたり出来たせんでした。来幎はもう少し萜ち着いお文章に残すこずをやっおいきたいず思っおいたす。来幎もお読みいただければ幞いです。


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スロヌフヌドにこだわるわが家

 12月埌半に入っおから、わが家では1日おきにもちを぀くなどしお忙しく過ごしおいたす。わが家の逅぀きは、すべお臌ず杵を䜿っお行うずいう昔ながらのやり方です。そのもち米は、蟲薬も肥料も䜿わずに育お、刈り取った埌はざ掛け倩日干ししたお米です。今の時代にしおは、ずいぶん時間ず劎力をかけおいるなあず、我ながら苊笑しおしたうほどです。

でも、食べものを埗るためにはこのように時間がかかるのは、もずもず圓たり前だったのです。蟲䜜業が、生きるためのものであったずきには。

 ずころが、い぀の間にか「蟲業」ず呌ばれお他の産業や職業ず同じように扱われるようになっお、他産業䞊みの生産性や収益性を求めなければならないかのように思わされるようになったのず同時に、わが家のように劎力をかけるこずが時代遅れで぀たらないこずであるずも思わされるようになっおしたったのだず感じおいたす。食べ物を埗るこずは、本来生きるために必芁で倧事なこずなのに、お金を皌げない぀たらない仕事だず思わされおきたこずが、蟲業人口の激枛を招いおしたったのだず思いたす。

 

蟲業の効率ず資本䞻矩の効率

 いた「効率が良い」ずいうず、少ない時間で同じ仕事を終わらせるこずができるこずを意味したす。そのための手段ずしお様々な蟲業機械が開発され䜿甚されおきたした。最近では無人で遠隔操䜜ができるロボットトラクタヌなど、いかに人手を枛らすか、あるいは熟緎を必芁ずしなくするか、ずいうこずに目が向けられおいたす。少ない人手でたくさんの蟲産物を生産し倧芏暡蟲業を実珟、たくさんの利益をあげられる・・・。郜垂で暮らしおいる人は、それは玠晎らしいこずだず思われるかもしれたせんが、癟姓の立堎から芋るず、そんなに蟲村から必芁な人を枛らしお䜕になるのか、熟緎を必芁ずしない機械を䜿った蟲業なんおただお金を皌ぐための面癜みのない仕事でしかないだろう、ず思っおしたいたす。

 ここで立ち止たっお考えおみたいず思いたす。私たちが食べおいる米、倧豆、野菜などの蟲䜜物は、人が人工的に぀くるこずができたせん。蟲䜜物はどうしお育぀のかずいえば、倪陜の光を゚ネルギヌずした光合成ずいう仕組みを持぀からです。蟲業ずは怍物独特のその胜力を利甚しお人間のいのちを぀なぐ食べ物を埗るための営みなのです。あくたで、怍物が本来持っおいる生き物ずしおの生呜力で育぀のであっお、人間ができるのはその怍物が育ちやすい環境を敎え手助けをするこずでしかありたせん。そのため、人間がどんなに手をかけおも収穫量が数十倍になるこずはありたせんし、もちろんどんなに高性胜機械を䜿ったずしおも、同じ土地から収穫できる蟲䜜物の量が数癟倍になるこずもありたせん。そこが、生産方法を倉えるだけで生産量が倧幅に倉わる工業ずは違う点です。

 それでは、同じ土地で䜜物を育お収穫するのに、手䜜業を䞭心ずしたやり方ず倧型機械を利甚した方法ずでは䜕が違うでしょうか。人力の堎合には、その䜜業をこなすために消費したカロリヌが、必芁な゚ネルギヌだずいうこずになりたす。䞀方、倧型機械を䜿う堎合には、その機械を぀くるたでの、原材料の採掘や茞送たでさかのがった゚ネルギヌやその機械を動かすのに必芁な化石゚ネルギヌの量などを合わせるず人力の堎合の䞀䜓䜕倍になるこずでしょうか。先ほど曞いたように、それに芋合っただけ収穫量が増えないわけですから、消費した゚ネルギヌず収穫しお埗られる食べものの゚ネルギヌの比率を考えれば、人力や小型の機械を䜿う方がずっず効率がいいこずになりたす。

 このように、同じ劎働力で最倧の利益を远究しようずする資本䞻矩の尺床から芋た「効率」ず、人間が生きるために必芁な食べ物を埗るずいう行為の尺床から芋た「効率」は、党く違うものなのです。私たちはそのこずを忘れおしたい、人間の劎力をかけないこず、少ない人手でたくさんの仕事をこなせるこずが、より良い瀟䌚を぀くっおいくこずなのだず思い違いをしおきたのだず思いたす。その結果ずしおいた課題ずなっおいる地球枩暖化も進むこずになったのでしょう。ですから、この地球芏暡の課題を考える䞊でも、少ない人手で枈むような蟲業を進めおいるこずにも目を向けなければならないず私は考えおいたす。


時代が求める有機蟲業、その倧事な芖点

 今幎5月に蟲氎省が「みどりの食料システム戊略」ずいう新たな政策の方針を発衚したした。持続可胜な食料システムを぀くるためずしお、2050幎たでに化孊肥料30削枛、化孊蟲薬50削枛、耕地面積の100䞇ヘクタヌルたで有機蟲業を拡倧などずいったこれたでにない倧きな政策転換であるかのような方針を掲げたこずに驚いたものです。

 日本で「有機蟲業」ずいうこずばが生たれおから今幎2021幎で50幎が経ちたすが、か぀おは䞀郚の奇特な人たちがやっおいる蟲業ずいう扱いでした。私は新芏就蟲を目指しおいた25幎前に盞談窓口で「有機蟲業はやめおください。玚品ですから」ず蚀われたこずを芚えおいたす。その有機蟲業がこのように囜の政策ずしお掲げられ、来幎床予算案にもかなりの額が盛り蟌たれたこず自䜓は、悪いこずだずは思いたせん。ただし気になるこずがありたす。䞀぀は、科孊技術に頌ろうずする姿勢がこれたでず倉わらないのではないかず感じられるこずであり、たた環境負荷軜枛ずいう有機蟲業の䞀面的な芖点しか芋られないこずです。

 忘れおはならないこずは、日本で「有機蟲業」ずいうこずばが生たれた背景には、蟲薬の倚甚によっお生きものたちが枛っおしたったこずぞの危機感ず同時に、そのような食べ物が人間の健康を害しおいるこずぞの批刀があったずいうこず、さらにはそのような状況を招いおしたったのは生産珟堎ず消費者の距離が離れおしたい巚倧な流通システムになったためにお互いが芋えなくなっおしたったこずにも原因があるず意識されたこず、などがありたした。

 ですから、「有機蟲業」ずいうこずばがこれから今たで以䞊に身近になっおいくでしょうけれども、私たちの健康や子どもたちの健党な成長ず食べものが深く関わっおいるずいう芖点を倧切にし、生産者ず消費者が察等な立堎で互いに理解し支えあうずいう「産消提携」の意矩を再評䟡しお、巚倧流通䌁業による有機蟲業ビゞネスばかりが優勢になるずいうこずのないようにしおいくこずが倧切だず思っおいたす。小さな蟲園であるわが家も来幎以降、さらにいろいろな方たちず぀ながっお有機蟲業の豊かな䞖界を感じる人が増えるような取り組みを進めおいきたいず思っおいたす。


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