次々と甦る幻の遺伝子組み換え小麦
遺伝子組み換え小麦(除草剤ラウンドアップ耐性)は、アメリカの農薬・種子メーカー旧モンサント社(現在はドイツのバイエル社に吸収されている)が開発し商業栽培化を目指したものの、主食であるということで世界中の反対を受け、2004年に開発を断念しました。ところが、そのころに試験栽培されていた遺伝子組み換え小麦がこれまでに4回アメリカとカナダで自生しているのが発見され、輸入小麦に混入しているのではないかと大騒ぎになりました。
7月18日付の日本農業新聞によると、今年6月にもアメリカ・ワシントン州で5度目の遺伝子組み換え小麦が発見され、しかも今回発見されたうちの1系統は新しい系統であることがわかりました。その新しい系統の遺伝子組み換え小麦は、従来の検査方法では混入が検知できないため、検査体制が整うまで数種間の輸入停止が必要なはずでした。ところが農水省は、アメリカ農務省の発表当日に新たな検査方法を採用し、混入を検知できることが確認できたとして輸入停止措置を取らない決定をしたというのです。
食の安全という観点で考えれば、しっかり混入の検出ができることを確認したうえで輸入を再開できるかどうかを判断するのが当たり前の対応でしょう。現在進められている日米貿易交渉への影響を避けるために食の安全を後回しにした、と疑われて当然というべき不可解な措置です。
輸入小麦製品がますます危ない!
小麦栽培に関して収穫前に除草剤ラウンドアップを全面散布して枯らすプレハーベストという方法がアメリカ、カナダでは主流になってきているそうです。そのため輸入小麦に残留する除草剤ラウンドアップの主成分グリフォサートの残留基準値を、2017年に農水省は5ppmから30ppmへと6倍も緩和しました。そして今回の遺伝子組み換え小麦の混入を見過ごすかのような措置。日本政府は、国民のいのちや健康よりも日米の外交関係を大事にしているようです。
こうなったらできることはただ一つ。輸入小麦を使った製品をなるべく選ばないようにするしかありません。日本ではまだプレハーベストという農薬散布はされていないので、国産小麦を使った製品を選ぶのがベターな選択。農薬を使っていない有機農家から直接購入したり、有機JASマークの付いた国産小麦製品を購入するのがベストの選択です。
農薬の影響は、胎児から小さな子どもの場合は特に大きく、発達障害が増えてきている原因の一つになっている可能性があるとの研究も発表されています。お子さんに小麦製品を食べさせている方は、特に気を付ける必要があると思います。