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有機農業は宗教?―農薬と子どもの健康について考える(その4)


国際がん研究機関「ヒトに対する発がん性がおそらくある」

ホームセンターでも買える除草剤ラウンドアップですが、国際機関が出した警告について日本ではあまり知らされていません。WHO(世界保健機関)の専門機関である国際がん研究所(IARC)が、2015年3月20日に除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートについて、「人に対する発がん性がおそらくある」とするグループ2A(上から2番目にリスクが高い評価)に位置づけると発表しました。これについて日本モンサント社のホームページでは、「このIARCの結論は、米国環境保護庁(EPA)などの世界の規制機関や科学機関による結論と矛盾するものです。EPAは発がん性の証拠はないとしています。さらに、IARCによる2Aという分類は、グリホサートとがん増加との関係を結びつけるものではありません。「おそらく(probable)」というのは、グリホサートががんの原因であるという意味ではありません。通常のラベルの表示どおりのグリホサートの使用で生じる暴露の100倍でも、ヒトの健康リスクにはなりません」として反論しています。しかし、国際がん研究所のこの発表は、欧米各国の政策に大きな影響を与えています。

欧米各国で広がるグリホサートへの不安と対応

アメリカ・カリフォルニア州は、2017年7月より発がん性物質のリストに加えました。これにより、州内で販売する際に警告表示が義務付けられました。ヨーロッパでは、グリホサートの安全性に対する不安が広がっていて、2017年EUに対して行われた「グリホサートの完全禁止を求める市民発議」では、107万人署名がEU(欧州連合)委員会(EUの政策執行機関)に提出されました。EUでは、グリホサートは期間を定めて登録承認される農薬という扱いになっていますが、グリホサートの登録延長について議論していた欧州議会本会議では2017年10月に、EUの家庭用の即時禁止と、農業用を2022年中に完全禁止するよう求める決議が賛成多数で可決されました。

 一番はっきりした態度を示しているのがフランスです。2017年9月にフランス政府は、グリホサートに変わる除草剤開発のための予算措置を取ることを前提に、2022年にグリホサートの使用を禁止することを決めました。ベルギーやスウェーデンでも、グリホサートの個人使用を禁止し農業使用に限定することを決めています。

日本は食品への残留基準値を大幅緩和

一方日本では、海外とは逆の対応を取っています。国際がん研究所の発表について大きく報道されなかったばかりか、政府は国会で規制についての議論をせず、逆に2017年12月25日厚生労働省の通達という形で密かに、グリホサートの残留上限値を大幅に緩和しました。例えば小麦では、5ppm →30ppmへと6倍に、トウモロコシでは1ppm→5ppmへと5倍に、そばでは0.2ppm →30ppmへと150倍に、また搾油の原料となるひまわり、ごま、べにばな、綿実、なたねも大幅に緩和されています。

 この事実は何を意味するのでしょうか?アメリカで栽培される小麦は遺伝子組み換えされたものではありませんが、収穫前に除草剤を全面散布(プレハーベスト)しているので、その除草剤の主成分であるグリホサートが多く残留している、と前回書きました。農薬の残留基準値が大幅に緩和されたということは、輸入される食品に残留するグリホサートが多くなってきていて、従来の基準だと輸入が認められなくなる恐れが出てきたからだと考えられます。しかも、小麦だけでなくいろいろな作物での使用が増えてきているということではないでしょうか。今後は、輸入された作物やその加工食品に、以前よりもずっと高い濃度のグリホサートが残留していても日本国内で流通することになります。国産でない小麦製品はますます危険になると言えそうです。家畜のエサの多くも輸入されているので影響が大きいでしょう。

 日本では関心の低いグリホサート(除草剤ラウンドアップの主成分)の安全性。一方欧米では、市民の大きな不安の声を受けてEUや各国政府がグリホサートの使用を禁止や制限する方向へと向かっています。モンサント社や販売会社などによる安全だという宣伝を無条件に信用せず、世界では危険性が疑われ、使用が制限・禁止されようとしている事実を、まずは重く受け止める必要があります。除草剤ラウンドアップの使用をやめていくだけでなく、輸入食品への残留が今後ますます増えていくはずなので、健康への影響が心配な方は、次のことに注意された方がいいでしょう。

◆まずは、なるべくオーガニックでない輸入農産物由来の食品を避ける。特に小麦製品。

◆その上で、できれば無農薬の食品を選んで、体内の残留農薬を減らしていく。

次回は、農薬とこどもの発達障害との関係について書きます。


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