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農業に対する見方が変わりつつある若者たち


  わが家では、研修生の募集に年齢制限を設けています。なぜかというと、わが家のように年間を通して様々な作物を育て、しかも手作業を重視する農業を覚えていくためには、体力がある年齢の時に夢中で働き、からだと五感を働かせて仕事と1年のサイクルを覚えることが大切だと考えていて、それが可能なのは30代半ばまでだと私たち自身の経験から感じているからです。

  6月からわが家に来た研修生の中村さんを見ると、農作業をすることが楽しいと感じていることが伝わってきます。彼女の姿勢を見ていると、私自身が新規就農したころ無我夢中で働き、学び、いろいろな見学会や学習会に参加していた情熱を思い出します。有機農業は面白い、そう思ってくれる人に出会うとこちらもうれしくなります。

  購読している『日本農業新聞』では、創刊90周年となる今年、地域農業で活躍する若手農業者や農と地方での暮らしに向かう若者たちの姿を追うキャンペーン記事「若者力」を随時掲載しています。それを読むと、「経済成長」といういことばが現実離れしてきたこの時代に、若者たちの中には地に足の着いた暮らしを求める人が増えてきていることを感じます。政界や財界の中には「GDP(国内総生産)の何%しか稼いでいない農業」という見方しかしない人たちが多いですが、若者たちは時代の変化を先取りし始めているような気配がしています。

  先日、大学の枠を超えた学生農業サークルFaVoの学生さん(何と知り合いのい有機農家の娘さんでした!)との出会いがあり、9月にはそのサークルのメンバーの数人が稲刈りの手伝いに来ることになっていて、交流を楽しみにしています。いま一部の学生さんたちの間では、農業はあこがれの対象ともなっているようです。若い人たちに、「かつてはお金と物ばかりを追いかける変な時代があったね」と振り返るような新しい時代を切り拓いてほしいと思っています。

 今はパソコンやスマホを通して世界中のあふれるほどの情報が得られる時代です。しかし、インターネットで触れる世界は実感の伴わないもの。自らの体を動かし、汗をかき、そして栽培や飼育する生き物たちと向き合い、やがてそれらを食する農業は、まさに生きている実感を体中で得られる世界です。少しも多くの若者たちに、そんな生き方もあるということを知ってほしいです。            

*FaVoについては、8月6日の日本農業新聞に代表の外山雄士さんのリポート記事が載っています。


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