外国人労働者受け入れ拡大で解決するのか?


久しぶりのブログ更新です。お米と一緒に毎月お届けしている「やぎ農園田んぼだより」11月号に加筆しました。

 今、国会で焦点となっているのが、より多くの外国人労働者を受け入れるための「入管難民法」などの改正案です。明日12月7日にも成立しそうな状況です。この法案は、深刻な人手不足を抱えた業界からの要望を受けて、高度な専門人材に限っていた受け入れ政策を転換して、技能労働分野への就労を可能にするというものです。日本人の雇用や労働条件への大きな影響も心配されますが、政府与党は、2019年4月施行を目指すとして実質審議時間が13時間余りという短期間で衆議院を通過させました。

政府が検討しているのは14業種だということで、政府の試算で初年度に最も受け入れ人数が多い最大7300人になるとされているのが農業です。確かに、今人手不足のようで、わが家にも登録もしていないのに農業求人広告会社からの営業FAXが毎月のように送られてきます。茨城県の野菜農家など一部の地域では、外国人技能実習生なしでは産地が成り立たないような実情がすでに出来上がっているそうです。ですから、今回の政府の改正案をそのような産地では歓迎しているのかもしれません。

しかし、外国人技能実習生は、日本で得た技能を母国の産業に活かすことを目的とした国際貢献事業という制度の建前とは違って、低賃金の労働者として酷使されている実態が明らかになってきています。その問題を放置したまま今回の改正案が通るならば、外国人労働者にとっても日本の労働者にとっても良いことはないと思います。

その場しのぎではない議論を

そもそも農業人口が減ってしまったのはどうしてなのかという問いかけがなく、また食料自給率が38%しかない日本の現状をどうしていくのかという展望もないままに、このような大きな政策転換を行えば、いずれその付けがやってきて、ますます日本の農業は立ち行かなくなることでしょう。今一度、農業は産業ではなく、農畜産物を生産しながら暮らしの場を守る仕事なのだということをしっかり考えなければ、問題はますます深みにはまってしまいます。

11月22日付の東京新聞に、第生命経済研究所が行った試算が掲載されました。それによると、多くの労働者が日本へ来ている中国との最低賃金の差は、2005年には14.4倍だったものが2016年には3.9倍に縮小していて、さらに2022年には2.7倍まで縮小するそうです。中国の経済成長に伴い、中国人にとって日本に行けば稼げるとは言えなくなってきているのが現実なのだそうです。来日する外国人労働者の出身国は変化していて、特にベトナム人とネパール人が急増しているようです。2016年時点での賃金格差は、ベトナムとは23.5倍、ネパールとは14.1倍ですが、2022年にはベトナムとは12.5倍、ネパールとは7.6倍にまで差が縮まると予測されています。このように賃金の格差がどんどん縮まってゆく、つまり日本の経済力がどんどん低下してゆくことは避けられないわけですから、「安い労働力」として外国人労働者を利用しようということ自体いつまで可能なのかわからない状況です。

原因はどこにあるのかを探ってそれに対処することなしに、ただ痛み止めの薬を飲もうとしている。私は政府の方針をそのように見ています。日本の農業者を育てなければ、やがて日本に暮らす人の食べ物を自分たちでは生産できないという時が来てしまうかもしれません。


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