有機農業は宗教?-農薬と子どもの健康について考える(その3)


アレルギーの原因は残留農薬にあることも考えられるのでは?

アメリカの3児の母親であるゼン・ハニーカットさんの話の中で、私はさらに驚くべき事実を知りました。小麦の収穫をしやすくするためにラウンドアップ(主成分はグリホサート)を全面散布し、枯らして早く乾燥させるというのです(プレハーベストと呼ばれます)。遺伝子組み換え食品を取ることをやめたのにもかかわらず彼女の子どもの一人の尿から高い濃度のグリホサートが検出された原因を探るうちに明らかになったのです。他の2人の子どもはグルテンアレルギーのため小麦が食べられなかったのですが、彼だけは小麦を食べていました。小麦は遺伝子組み換えされたものは栽培されていないのにも関わらずです。ちょうどそのころ、その子は体調が悪く、腸内に炎症を起こす真菌が見つかり、19もの食品に過敏症であることがわかりました。食べものを有機のものに変えてグリホサートを除去するとともに発酵食品を摂るという努力をしたところ、6週間後にはグリホサートが検出されなくなり、健康状態も改善されたそうです。

この事実に私はとても驚きました。プレハーベスト(収穫前農薬散布)は1980年代にはじまり、今や世界中で行われているという情報もあります。2016年に日本に輸入された小麦は545万トンで、その輸入先の46.3%がアメリカ合衆国、33%がカナダで、

どちらの国の小麦からも残留グリホサートが検出されています。小麦製品のうち、国産小麦と表示されていないもののうち約80%のものにグリホサートが残留しているアメリカ産およびカナダ産小麦が使われていることになります。パンや麺類をよく食べている方は要注意です。

このように、遺伝子組み換え作物であってもなくても、意識せずに摂取している残留農薬はかなりありそうです。確かにグルテンアレルギーのように、食べものそのものがアレルギーを引き起こすことが確かだとしても、子どもたちのアレルギーをはじめとする健康問題の原因の一つとして残留農薬の影響もあるのではないかと私は考えています。日本でも農薬と健康問題について、放射能と同じく関心が広がって欲しいと思います。

腸内細菌への影響

モンサント社は、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートは、植物の持つ特定の酵素を阻害し、成長・生存に必要な植物は枯れるが、ヒトや動物はその酵素を持っていないのでリスクは低いと主張しています。それなのにどうして体内にグリホサートがあると、健康を害するのでしょうか?調べてみると、モンサント社が触れていない大事な人体への影響があることがわかりました。腸内細菌には植物と同じ仕組みがあるので、グリホサートを体内に取り込むと、腸内細菌に大きな影響を与えてしまうというのです。ゼン・ハニーカットさんのお話の中にも「グリホサートは殺菌剤としても登録されています」という言葉がありました

 ヒトの腸内には無数の細菌が住みついているといわれています。ヒトの腸内細菌のうち、乳酸菌などの善玉菌はグリホサートに弱く、一方悪玉菌の中には耐性があるものもあり、食べものからグリホサートを取り込むと腸内の悪玉菌が優勢となることが分かっているそうです。しかも善玉腸内細菌は、人が自分ではつくれない必須のビタミンやホルモンの一部をつくりだしたり、必要なカロリーの一部もつくりだすという働きをしながら共生しているということですから、腸内細菌の状態がグリホサートによって悪化すると、ヒトの健康が損なわれるのです。遺伝子組み換え作物であるエサを与えられた家畜も、エサに含まれるグリホサートを取り込んでいるので、同じように健康状態が悪化し、餌を変えれば改善するそうです。

 前回紹介したように、アメリカの遺伝子組み換え食品に反対する母親の一人、ゼン・ハニーカットさんのお子さんの一人が、プレハーベスト(収穫前農薬散布)の行われている小麦を食べ続けていたために腸に大きな問題を抱えて具合が悪くなったという例も、グリホサートが腸内細菌の善玉菌を殺してしまったことが原因だとも考えられます。

 モンサント社はグリホサートが人にリスクを与えないと主張するために腸内細菌への影響を意図的に隠している可能性があります。なぜならば、腸内細菌がいない状態にしたマウスを育てる実験の結果を見ても、腸内細菌が動物の生存に大事な役割を果たしていることがわかるからです。ベストセラー『生物と無生物の間』の著者である生物学者・福岡伸一さんのブログ(福岡伸一の生命浮遊)には、ヒトにとって腸内細菌がいかに重要な働きをしているかが、実例で示されています。

腸内細菌に影響があるということは、ラウンドアップが散布された農地では、土の中に住む土壌微生物にも大きな影響があることになります。土壌中の微生物のバランスが狂えば、そこに植えた作物が病気にかかりやすくなることも考えられるでしょう。そうすると殺菌剤の使用が増えることにもつながりそうです。

このように、食べものに残留しているグリホサートを取り込むことで健康を害するということが、ゼン・ハニーカットさんたちの行動で明らかになってきました。人体に影響があるのなら、なぜグリホサート(除草剤ラウンドアップ)は、ホームセンターでも気軽に買えるのでしょうか?海外ではどうなのでしょうか? 実は、グリホサートについて、日本ではあまり知らされていない危険性を、WHO(世界保健機関)の外部組織である国際がん研究機関が指摘しているのです。次回は、そのことについてとヨーロッパ日本でのグリホサートへの対応について書きます。


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