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有機農業は宗教?-農薬と子どもの健康について考える(その1)


先日、妻がある農家から「無農薬で農業をやろうとするのは宗教と同じだ」と言われ、ラウンドアップという商品名で知られる除草剤が危険だとは思っていないという話をされたと聞きました。わが家がどんな農家であるかを知った上でです。また、有機で新規就農したいと考えているのですが、と訪ねて来た人からも近所の農家に「有機農業は宗教だ」と言われたという話を聞きました。どういう意味で宗教と言われたのか知りませんが、有機農業を続けること=信仰だという言い方には違和感を覚えます。遺伝子組み換え種子メーカーや農薬メーカー、そして農薬の安全性に疑問を感じない農家などは「人体への影響や危険性が科学的に証明できていないものは、危なくない」と言いますが、科学は万能でしょうか?福島第一原発の爆発事故の時、多くの人が放射能への不安を抱いたにもかかわらず、農薬についてはいまだに健康を害するかもしれない見えない不安だとは意識されていないのはなぜでしょうか?

その商品によって利益を得ている企業などが、不都合な真実を知らせようとしないことはよくあることです。中立を装った「科学的に危険性が証明されていない」という言い方を鵜呑みにすると、場合によっては信じなかったものは救われ、信じたものは救われないという悲劇を生み出す可能性もあります。直感や経験で怪しいのではないか?と考えることも、物事を判断するうえで大事な場合があると思いますし、それが真実を知ることにつながる場合もあります。

ラウンドアップは人体に害がないのか?

ラウンドアップは、アメリカのモンサント社が開発した除草剤です。その有効成分はグリホサートという化学物質で、すべての植物を枯らすことができます。世界でもっとも使われている除草剤だということです。日本では、日産化学工業が独占的販売権を取得して「ラウンドアップマックスロード」という商品名で販売しています。ホームセンターにもたくさん並んでいます。

日本モンサント社のホームページには、グリホサートが植物の持つ特定の酵素を阻害し生長・生存に必要なアミノ酸が生成されなくなり植物が枯れるので、その酵素を持っていないヒトや動物に対するリスクは低いと記されています。また、その安全性について、「除草剤のメーカーは、様々な研究を行い、有害作用を認めた時にはその新しい所見を報告することが義務付けられています。世界各国の規制担当者が、これらの試験研究を注意深く検証しています。これらの試験研究は、政府の規則で定められた試験の有効性に関する実施基準の要件のもとで実施されます」と説明する一方、安全性に疑問を投げかける研究結果ががいろいろ発表されていることについては、「グリホサートの安全性データと矛盾する研究は、その多くが正しい科学的な研究デザインやプロトコルの基準を満たしていません」として、そのような研究は信頼できないと決めつけています。

このような説明を読むと、それなら人体には害がないものだと思う人も多いことでしょう。しかし、都合の悪い試験データを規制当局に提出していなかったり、農薬メーカー自身が都合の悪い結果が出ないように試験の条件を設定しているもあるということで、農薬メーカーの説明を鵜呑みにはできません。実際に健康に問題が起きた人たちの声に耳を傾けて、どちらが本当のことを言っているのかを見極める必要があります。

 そこで、次回グリホサートによって子どもが健康被害を受けたアメリカの母親たちの運動について書きます。


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